ミッドランドスクエアシネマで「トランセンデンス」を観る。スタッフロールが流れ始めて思った。「そうだ、これはジョニー・デップの映画だった!」彼が単純な娯楽作品を提供するはずはない。この作品も、観終わってしばらくはいろんな考えが浮かんできた。ボクの考えをまとめると、こんな感じです。
人工知能PINNの開発研究に没頭するも、反テクノロジーを叫ぶ過激派グループRIFTに銃撃されて命を落としてしまった科学者ウィル(ジョニー・デップ)。だが、妻エヴリン(レベッカ・ホール)の手によって彼の頭脳と意識は、死の間際にPINNへとアップロードされていた。ウィルと融合したPINNは超高速の処理能力を見せ始め、軍事機密、金融、政治、個人情報など、ありとあらゆるデータを手に入れていくようになる。やがて、その進化は人類の想像を超えるレベルにまで達してしまう。
「ナマコを最初に食べた人は偉い! なんであんなものを食べようとしたんだ?」という漫談を聞いたことがありますが、人間は初めてのものに対する恐怖は遺伝子にプログラムされているんでしょうね。でないと、害のあるものに触れて死んでしまう恐れがあるもの。
この作品でRIFTが生まれたのも、そんな未知のものに対する恐怖からでしょう。人工知能が進化したら、人類がその支配下に置かれるかもしれないもの。いや、RIFTだけじゃない。実はみんな、ぼんやりと「危ないんじゃないか?」って意識があるはず。それは遺伝子にプログラムされているものだから。
人工知能と人間の決定的な違いって「気持ちが揺れる」ことだと思います。人工知能のプログラムは、AからBに舵を切る時は明確な命令のもとに動くけど、人間はそうではない。直感とか、なんとなく、というように、明確に説明できるものを持たないまま舵を切ることもある。
AからBに舵を切っても、人間は「Aの方がよかったんじゃないか」という気持ちが生まれることもある。いくら理由を明確にしても「でも、ひょっとして…」と考えてしまうのが人間です。
理想の未来に向かってテクノロジーを進化させる人間。結果、理想の未来に進んでいるはずなのに「これでいいのか?」と思ってしまうのも人間。当初の気持ちから迷いが生まれる、そんなコントロールしにくい意識を持っているのも人間。人工知能から見たら「なんで迷うんだ? 君たちが進んでいきたいと思った方に向かっているのに」と不思議がられるんだろうな。
コメントを残す